オーベルシュタイン |
「実は閣下・・・私は現在,いささか苦しい南場に立たされています.ご存知かと思いますが・・・」
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ラインハルト |
「ダブルリーチからの現物降り,糾弾されて当然だな・・・ゼークト提督は,壮烈なヤクマンを喰らったというのに・・・」
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オーベルシュタイン |
「凡百の麻雀士にとって,私は卑劣な逃亡者に過ぎません・・・しかし閣下,私には私の言い分があります.閣下にはそれを聞いていただきたいのです」
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ラインハルト |
「スジ違いだな・・・卿がそれを弁明するのは,私にではなく下家相手にであろう? 卿は相棒を補佐しその誤りを訂正するという任務を全うせず,しかも一身の安全を図った.その事実を前にしては,どのような言い訳も無力だ」
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オーベルシュタイン |
「違うでしょう・・・私が振り込んだのは,ただ単に親がクソ待ちだったためです・・・キュポンッ! キュポンッ!」
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ラインハルト |
「!?」
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オーベルシュタイン |
「・・・このとおり,私の両目はイーピンです.雀牌を携帯することを禁じたあのルドルフ大帝の治世ならば劣悪雀士排除法によって,とうに抹殺されていたでしょう・・・おわかりになりますか? 私は憎んでいるのです.ルドルフ大帝と彼の打ちスジと彼の生み出したすべてのヤクを・・・」
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ラインハルト |
「大胆な撥切りだな・・・」
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オーベルシュタイン |
「銀河雀国・・いや,ゴールデンバップ王朝は滅びるべきです.可能であるなら私自身の手でハコテンにしてやりたい・・・ですが,私にはその力量がありません.私にできることは,新たな麻雀王の登場に協力すること・・・ただそれだけです.麻雀元帥ローエングラム伯ラインハルト閣下」
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ラインハルト |
「卿は,自分が何を言っているのか分かっているのか?」
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オーベルシュタイン |
「無論です,何度でもいいましょう.ゴールデンバップ王朝は滅びるべきなのです.そしてその後,新しく雀卓を囲む方は閣下をおいて他にありません」
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ラインハルト |
「キルヒアイス! オーベルシュタイン大佐をハコテンにしろ! 聴牌に対して誤ロンの言質があった.帝国雀士としては看過できぬ」
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オーベルシュタイン |
「ふ・・・所詮貴方もこの程度の雀士か・・・結構,キルヒアイス中将ひとりを相方と頼んで,貴方の狭き待ちをあがりなさい・・・キルヒアイス中将? 貴官は私と打てるか? 私はこのとおりハコテンだ・・・それでも打てるか? ふっ,打てんだろう・・・貴官はそういう男だ.尊敬には値するが,それではトップを獲ることはできまい・・・国士ねらいには常にヤキトリが付き従う・・・しかし,お若いローエングラム伯にはそれがお分かり頂けないか?」
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ラインハルト |
「ふん・・・言いたい事を言う男だ」
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オーベルシュタイン |
「恐縮です」
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ラインハルト |
「前の半チャンではさぞかし嫌われたことだろうな」
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オーベルシュタイン |
「あの上家は,私の欲しい牌を切ってくれませんでした」
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ラインハルト |
「よかろう! 卿を二十符三翻で買おう.これからは,私のために積み込め」
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