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〜〜〜首都星ハイネセン地下〜〜〜
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ある日のことだ.わが屋敷に突然の来訪者があった.
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トリューニヒト |
「ほう,エルファシルの雀雄に訪ねて来てもらえるとは光栄だね」
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エルファシルの雀雄ことヤン・ウェンリー店長が,私の屋敷に訪ねてきたのは.雀没者慰霊祭(雀没者:麻雀で焼き鳥を被り,灰と化した人々のこと)で雀没者を弔う麻雀大会をおこない.その後,麻雀協会役員連中との半荘を終えて帰宅し,リビングで三次元麻雀をしてくつろいでいる時であった・・・私の言葉についで,ヤン店長が言葉を発した.彼が言うには,雀友の焼き鳥が関わっているということだった・・・
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トリューニヒト |
「雀友の焼き鳥ねぇ・・・それは大変だ・・・ふっ」
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そして,ヤン店長は付け加えて言った.それは,今日の麻雀大会であなたがカモにしたジェシカ・エドワーズ雀士のことです・・・と,私は,ふと雀没者慰霊式典でおこなわれた,雀没者慰霊麻雀大会での出来事を思い出した.
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トリューニヒト |
「ああ,あの女流雀士のお嬢さんか・・・」
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そう,私は今日の慰霊祭での麻雀大会で,一人の女流雀士をカモにした.普段の私なら,そのような式典でのお遊び麻雀では,本気を出さないのであるが.今回は別であった・・・その女流雀士の口三味線が,私を非常に不愉快にさせたためである・・・彼女は,こともあろうに,この私に対して,貴方はなぜドラを鳴きますか?
他人にヤミ打ちを勧め,ドラ麻雀を打つことを非難する貴方は,なぜドラを鳴きますか?と・・・まったく,何を言っているのだ.この女は?
私は,こともあろうに勝負の最中,一瞬・・・不快感を覚えてしまった.そして,その瞬間!
私の耳にさらに不快な単語が飛び込んできた.”ロン!” ・・・私は,呆然として呟いた.
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トリューニヒト |
「は? 南ですと?」
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その瞬間,女の牌が倒された.それは,先程まで国士無双テンパイ,南待ちであった手を私の目に焼きつかせた・・・
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私は,一通りのルールと役についての説明を受け,理解した(まあ,私のように多忙で,普段から,スピーチのための原稿を本番の5分前に全て暗記する程の能力があれば,ゲームのルールの一つや二つ簡単に覚えられるのである j
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トリューニヒ |
「・・・っ!!! v
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私は,これまでにあまり味わったことの無い不快感に襲われた.そして,私は,その半荘が終了した時点で,2着であった.トップは言いたくも無い人物であった D
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私は,その時,既に私の取り巻きである憂国雀士団によるジェシカ・エドワーズへの報復を決意していた.次の半荘で,彼ら憂刻雀士団は,あらゆるサマ(イカサマ)をコクシして,ジェシカ・エドワーズを完膚なきまでにカモにし,一度もアガらせることなく半荘を終わらせた.ふふ,さすが,私の影の部隊だけのことはある D
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・・・そして,自信喪失している彼女に向かって,私は追い討ちをかけるように言い放った D
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トリューニヒ |
「係員! このお嬢さんは,鳥にまみれているようだ, 早くサイコロを振らせなさい v
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とまあ,このようなことがあったため,今,彼女の親友のヤン店長が私に謝罪を求めてきているのだった D
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しかし,私はまったく謝罪する気もなければ,悪い事をしたという気持ちも持ち合わせてはいない.先に仕掛けてきたのは,あの女ではないか H
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だが,これはいい機会ではある.あのヤミ打ちで有名なエルファシルの雀雄のヤン・ウェンリー店長が,わざわざ,わが屋敷を訪ねて来てくれているのだ.これはまたとない機会ではないか?
三次元麻雀にも飽きてきたところだしな・・・ふふふ,私は,これから得られるであろう刺激を思い浮かべて,ひとりごちた D
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トリューニヒ |
「ヤン店長・・・君には期待しているよ v
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・・・つづ ュ
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次回予告 |
ヤン店長の突然の来訪を受けたトリューニヒト・・・そして,二人は麻雀を打ち始めた.まるで,その空間だけ,刻の流れが停止したかのような感覚さえ感じられた.二人の点棒は,それぞれのハコを往来する.まるで,点棒が意思を持って,自分の所有者を捜し求めているかのように・・・そんな中,トリューニヒトのハコから一本の千点棒が,意を決したように,横向きに捨てられた牌と共に卓上に出撃した!
果たしてこの一局が全体の戦況に何らかの影響を与えるのであろうか H
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次回,麻雀士ヨブ 第3章「ヨミがフカクなるのは・・・ v
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